4/23 開館30周年記念特別展柿右衛門展@戸栗美術館

セレブの町松濤でこれまで素通りしていた美術館。新聞屋さんからチケットを貰いはじめて行った。コースとしては松濤美術館と組み合わせないと電車賃が勿体ない。松濤も面白そうなのをやっていて丁度良いか。

生前父が仕事で酒井田柿右衛門さんと縁があったおかげで、実家には柿右衛門の磁器がいくつかあった。わざわざ飾ってあったのがペアのコーヒーカップだったので、恐らくそれは窯の量産品でない特別なものと思われる。価値は別として、洒落た形に白地に赤、緑、青で描かれた椿の花が美しくて、大好きで、出来ればそれを貰いたいなぁと思いながら、言い出せないでいる。本展覧会を見て、それはたぶん十三代柿右衛門ではないかと思った。同じ柿右衛門といっても、やはり微妙に違うもので、ましてや、柿右衛門様式と言うスタイルが確立した歴史を見ていくとなかなか面白いものだった。陶磁器、まだまだ知識不足だけれど、出光や泉屋博古館の展覧会で得た基礎知識がちょっと役に立ったかな。

http://www.toguri-museum.or.jp/tenrankai/index.php

酒井田柿右衛門家に伝わる「赤絵初りの覚」によれば、初代柿右衛門が赤絵の焼成に成功し、1647(正保4)年には、製品を長崎で売ったといいます。その後1670年頃には「濁手(にごしで)」と呼ばれる乳白色で暖かみのある白磁に、華やかな赤の上絵具を主とした絵付けを施した「柿右衛門様式」と称される作品群が成立します。この柿右衛門様式の作品は、ヨーロッパにおいて絶大な人気を誇りました。しかし、輸出事業の縮小に伴い、「濁手」素地の製法は18世紀のうちに失われてしまいます。

 失われてしまった「濁手」素地の製法を戦後に復興したのが、12代・13代柿右衛門氏です。つづく14代柿右衛門氏は先代達よりその技術を受け継ぎながら、写生に依った新しい感覚の作品を制作されました。そして2014年には15代が当代酒井田柿右衛門を襲名され、伝統を守りながらも現代に調和する作品を次々と生み出されています。

 開館30周年記念特別展となる今展では、15代酒井田柿右衛門氏の新作をお披露目し、さらに、近現代の歴代柿右衛門氏の優品や、当館所蔵の江戸時代に作られた柿右衛門様式の作品を展示いたします。江戸時代より伝わる技術を継承しながらも、次世代への新しい展開をみせる、柿右衛門のすべてをお楽しみください。

第1展示室は十一代以降近現代の柿右衛門の紹介でした。

十一代の臥薪嘗胆のような苦労話は当時の国語の教科書に載ったそうですが、夫曰く、これは史実ではないそうです。それでも、濁手と呼ばれる乳白色の素地や赤絵を復活させたのは素晴らしい功績ですね。いまではどの和食器によくある白素地に赤、青、緑の絵付けはこの柿右衛門様式がもとなんですねぇ。

十四代の写実的日本画のような花々の絵付け(特に桜が素晴らしかった)も華やかでしたが、現在の十五代の素朴な野の植物を描いたものも、かわいらしく可憐でステキでした。梅、野苺、そしてどんぐり。小人になって森に迷い込んだ絵本の主人公のような気持ちになりました。

十四代柿右衛門

十五代柿右衛門

第2展示室は、江戸時代の柿右衛門様式を紹介。第3展示室は常設(?)

そういえば、出光で得た豆知識。陶磁器をchinaと英語でいう通り欧州では中国の白磁が珍重されました。日本ではまだなかなかその白色が出せない。輸出品は中国の2級品扱いです。が、中国国内動乱で中国からの輸出品が減ったのと比例するように日本の白磁も技術があがり欧州で人気となりました。

中国の白磁が青みがかっっているのに対して、日本のは柔らかい乳白色、濁手と言います。伊万里では、絵は染付だったのですが、色絵と併用するようになり、釉薬も薄く均一でより鮮やかになりました。染付けと色絵の違いも遅まきながらここで勉強。また文様もぎっしり埋める中国式から、日本人の感覚に合う、余白をたっぷりとった左右非対称のものに変わっていきました。柿右衛門様式の誕生ですね。

伊万里柿右衛門様式)

同じ図柄が並んでいましたが、職人によって描き方が違うので面白い。

興味深いのは、マイセン窯の八角皿と伊万里がそっくりなこと。ザクゼン強王が白磁の生産を命じて出来たのがマイセン窯ですが柿右衛門の模倣品も作っていたそうです。

輸出用の面取り杯と輪花皿は可愛くて、欧州ではデミタスカップ&ソーサーに使われたもよう。虫籠型食籠も小さく美しく精緻。

鶏置物(伊万里柿右衛門様式)

欧州に珍重がられた日本の陶磁器、それをくるんだ反故紙が浮世絵版画で、ジャパン大ブーム。面白いものです。

5月14日まで