気合いが入る

厳しいことを言う。それが良いことではないことを佳之は十分に知っている。それでも、敢えて厳しいことを言う。そうすることで、佳之は自分自身を追い込んでいた。言うからには、甘いことは赦されない。

「それじゃだめだ」

吐き捨てるように言い捨てた。大きな溜め息と伴に、がっくりと気持ちが落ち込んでいるのが分かった。恵介は怒りすら覚え、肩に力が入っていた。それでも、恵介は佳之が好きになっていた。「好きな人の言うことなら聞ける。聞きたい」そんな気持ちがすでに備わっていた。そんな言い方をしなければ、もっと好きになれるのに。そうとも思いながら、これが佳之先生なのだと、ますます意欲を燃やしていた。

二人とも気負いはなかった。これが僕たちの関係だった。

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